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小説家も出たとこ勝負

 覇者と覇者の海人の物語を書く。

 はるか彼方、首都圏で荒れ狂う砲声がどうにかおさまったとき、茨城県北部の人々は自分たちが深刻な問題を抱え込んだことに気づいた。戦乱を逃れた難民の波のうねりである。

 愚者と愚者を書きおえ、べつの小説を一本書き、それから覇者と覇者のプロットにとりかかったところで、じつは書き手もはじめて首都圏の6月の戦争が生み出した難民問題に気づいた。書いている途中で気づくこともしょっちゅうあって、たぶんそっちの方が多くて、登場人物たちが抱える問題群がつぎつぎと明らかになり、書き手は物語の混沌に放り込まれて右往左往することになる。そういう出たとこ勝負がうまくいくこともある。たとえば恋愛小説を書いていくうちに主人公の女の子が男の子に愛されてはいないことに、書き手のわたしが気づき、2人の恋愛の内実を理解するに至ったとき、ああこれで彼女と彼の恋を書けるぞと思ったものです。「ああ、なんてことなの」と姫子は胸をふるわせて嘆いた。「わたしは最初から翼に愛されていない」(愛と悔恨のカーニバル)





*パンプキン・ガールズ
 椿子は、十一月一日、経営者評議会にテロを宣告した。パンプキン・ガールズの池袋事務所が暗殺隊を編成し、経営者評議会に派遣されている黒い旅団の将校を監視して、深夜でも白昼でも機会があれば銃撃した。

愚者と愚者 (下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

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