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2007年5月

高校生女子はどう読んだか③

 先週の日曜日の記事で16歳を強調したことに対して、狭間の広場の火狩朱夏さんが日記で〈癪〉とひと刺し。http://ameblo.jp/9s-and-arikawahiro-love/day-20070520.html

 うーん。返す言葉がない。山形市の〈小説家になろう講座〉で老婆という言葉を使ったらFさんに厳しく批判されたことも。たとえば「78歳の女性」と表現したらどうですかと。
 たぶん使用可能な言語でなにかを語ろうとすれば、そうするほかないわけだが、年齢差別や性差別を免れることはできず、免れる唯一の方法はおびただしい留保をつけながら語るしかない、という自覚はいちおうあるのだが┅┅。
 で今週も性懲りもなく火狩朱夏さんの書評の紹介。

 〈愚者と愚者〉上巻。http://ameblo.jp/9s-and-arikawahiro-love/entry-10019812337.html

竹内里里菜 きらーい。海人の恋人。年上。魚屋。
でも確か未亡人で付き合い出した当時海人は15以下だったと思われます。出来れば椿子か桜子がよかった。でも桜子死んじゃったから椿子が良いな。
こいつ切って、海人。でもあんた恋人いるのに他の女と寝すぎ。

 里里菜は嫌われて当然だと思う。ロマンチック・ラブを省略していきなり欲望だからな。それよりなによりフェアじゃない。海人はまだ13歳で、里里菜は恩人で大家で魅力的な人妻で年齢差が16も。
 でも里里菜にはフェアではないという自覚がある。そういう女性として描いたつもり。欲望とロマンチック・ラブについては、配慮を重ねて描いたので、年齢や性別にかかわりなく愉しんでもらえるはず、という作者の望みはあるていど叶えられたと思う。

〈愚者と愚者〉下巻の書評。http://ameblo.jp/9s-and-arikawahiro-love/entry-10020406369.html

私的にはリリナさんの出番が少なくて嬉しかった巻です。
でもそのかわり13歳くらいのときの海人と恋人になったことが判明。
思わず本を閉じそうになりました。
そのあとすぐに、そのときの海人は既に女よりも人の殺し方のほうを知っていたとかで、テンション上がりました。ね。なんだろうねこの変な高揚感?











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高校生女子はどう読んだか②

『愚者と愚者』上巻の第1章の最後で、聡明な女子学生が、黒い旅団司令官の親書を携えて、常陸軍孤児部隊司令官の海人をたずねてくる。彼女はゲイ・ヒロイズムを掲げる女嫌いの〈黒い旅団〉の急進主義に強く魅せられている。彼女の訪問の目的は海人を唆して女の武装勢力と訣別させること。

 火狩朱夏さんhttp://ameblo.jp/9s-and-arikawahiro-love/entry-10019812337.html
はこの女子学生をどう読んだか。

小林康子 女子学生。えー誰? あ、もしかしてヴァイオリンかなんか弾いてた人か。んー……ちょっと恐い。
決して間違ってはいない方法で、間違っている方向へ人を向かわせる。
まあ信念とか信条の違いから生まれる対立だとは思うけど、
海人の言う「唆した」自覚はあると思われる少女。
でも、反論材料を手元に残してる。戦いにくいし、言い負かしにくい。

 信念とか理念とか理想とか思想とかそれ自体への、あるいはそれに魅せられた人間への、16歳高校生女子の感受性のまともさに感嘆する。読みの正確さに感嘆する。人間把握の深さに感嘆する。作者であるわたしは自分の愚鈍な16歳を思い出して赤面する。




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高校生女子はどう読んだか①

 狭間の広場の火狩朱夏さんhttp://ameblo.jp/9s-and-arikawahiro-love/archive3-200610.htmlが『裸者と裸者』の書評を書いたとき16歳の高校一年生。もうその年齢だと「ラノベは図書館で恥を忍んで借りる」らしいが、朱夏さんはラノベを中心に恐ろしいスピードで小説を読み書評をブログに書きつづる。

覚悟してお読みください。
ずっとラノベばっかりだった人にはちょっときつかったです。
ひっさしぶりに重い本を読みました。
なので今ちょっと胃もたれ中。食傷中。

 高校生女子はどう読んだか。作者として強い関心がある。朱夏さんの書評からもうすこし抜粋させてもらう。

キレイなお金が欲しかったけど、汚いお金で2人の命が助かるなら。正しい教育を受けて正しい道を歩めるなら、という海人に、弟の隆は言います。

「ようするにカイトはおれたちをすてるわけだ」

   *      *

レズビアン、レイプ、ゲイ、性差別、年齢差別、人種差別、政府軍と反乱軍、派閥、地方軍閥、宗教、マフィア。
賢さ、狡猾さ、卑怯さ、狡賢さ、理性、誠実、常識と非常識、プライド。


   *      *

椿子は桜子、桜子は椿子。
彼女達の結末と、「父親」に対する姿勢。
冷静に他者を分析する彼女達が好きです。


   *      *

利害と損得と利権と権力と武力と食料が絡まりあって、
戦争ナシでは回らなくなってしまった経済情勢の中で、
それぞれがそれぞれの理念の下、ただひとつ戦争終結に殺し合うお話。

 朱夏さんが叩き出した言葉は、作者が小説のなかに投げ込んだアクチュアルで複雑な問題群を手がかりに、高校生女子が物語の舞台を理解し、登場人物の人生を追体験しつつ、ふむふむなるほどあららと、小説を愉しんだ証だ。



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