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神経が図太い吉田伸子と池上冬樹

編集者が『兇眼』(徳間文庫)の解説を吉田伸子さんに依頼したら断られた。言い分はこうだ。その仕事をうけちゃうと、つぎに文庫化される予定の『愛と悔恨のカーニバル』の解説がほかの人にいってしまうわけで、あたしは〈愛と悔恨~〉の解説を書きたいのお‼

編集者はそこで池上冬樹さんに依頼したが、また断られた。事実経過はちょっとちがうかもしれないがそれはどうでもいい。山形市で会ったときに池上さんはわたしに面と向かって言い放った。『兇眼』はやる気ないけど『そこに薔薇があった』(中公文庫)の解説はぼくに書かせてよ。シンジラレナイ。世間一般の常識に照らしてありえない発言だと思うけどね。

不憫な『兇眼』のために一言。おもしろい小説だとわたしは思う。青山ブックセンター六本木店の書店員さんが凄く気に入ってくれ、徳間に50冊注文したのに20冊しかまわしてくれないとぼやきつつ、ばかすか売ってくれました。

で『兇眼』の解説はどうなったか。編集者が困って、どうしましょうかと言うので、香山二三郎さんなら書いてくれるかも、あの人プロだと思うから、とわたし。やっぱり香山さんはプロだった。吉田&池上とおおちがいだ。快く引きうけてくれた。みなさん『兇眼』の解説を読んで、香山さんの鮮やかなプロの筆致を愉しんでください。

わたしは中央公論新社の編集者に電話を入れて、『そこに薔薇があった』の解説は池上さんでと頼み、池上さんは望みどおりの仕事を手に入れた。

吉田さんは『兇眼』から二年後、やはり望みどおり『愛と悔恨のカーニバル』(徳間文庫)の解説を書いた。主人公の女の子への深い愛にみちた文章だ。あんなに神経が図太いのに、この解説にかぎって言えば、吉田さんの愛には繊細で壊れやすい肉体がある。

Book 愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

著者:打海 文三
販売元:徳間書店
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