日記

詩人のからだ?

いつのことだったか記憶がまったくない。
渋谷の書店のアート関係の本棚で
伊藤比呂美の名前が眼にとまった。
ヌード写真集だった。新聞のエッセイを読み、たぶん詩もいくつか読み、
上野千鶴子の賛辞をなにかで読みまあそのていどでよく知らないのだが
伊藤比呂美という人のかなり強烈なイメージはあったので
すこしためらった。
けっきょく手にとり数枚見て閉じた。嫌な予感が当った。
見るんじゃなかったと後悔した。露悪趣味だろと思った。
狙いがなければ人間の肉体はあんなに醜く撮れないはず。

写真集のタイトルもおぼえていない。けさふと思い出して調べてみた。

手・足・肉・体―Hiromi 1955 Book 手・足・肉・体―Hiromi 1955

著者:石内 都,伊藤 比呂美
販売元:筑摩書房
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これだと思う。撮影時の年齢は39歳。じゅうぶんに若い肉体のはず。
この表紙だけ見るとそうでもないが感じだが
じっさいはひどい露悪趣味。
写真を撮った石内都がまた強烈な個性の人。

石内都のインタビューから抜粋。http://www.imagef.jp/interview/library/010/index.html

「傷という物語」

続いて男の人の手と足を撮ってみたけれどつまらないのね。意外とふにゃふにゃで。それで手と足をやめて、骨格や筋肉や性器など私にないものを見たいという意識が強くなった。初めて男性のヌードを撮った時に、実は彼が大きな傷を持っている人だった。彼は傷の話を延々とし始めて、傷って物語があるし、語るという意味で現実のものだなと考えた。
(略)
私にとって暗室の作業というのは、性行為に近いんです。そういう気分があるわけ。撮影は淡白だけど、暗室ではねちっこい。赤いランプの光と毒の薬品に浸かる淫靡さというのかな。


あの詩人とこの写真家でなにが生まれたにせよ
わたしは二度と見たくない。
見たいっていう人をとめやしませんが。


Book 愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

著者:打海 文三
販売元:徳間書店
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麦の春化と立川市のYさん

コラムやアンケートで八ヶ岳の百姓時代の話をちょこちょこ書いていたら、20年まえのある事件を思い出した。当時、3家族で東京と甲府市の消費者グループに、野菜、米、豚肉、大豆、小麦粉、そば粉、味噌、林檎、桃などを共同出荷していた。東京都の西郊外にある立川市のグループに農産物を下ろしているときに、Yさんから「グループのミニコミ誌をつくることになったので、なにか書いてよ」と頼まれた。Yさんとはそのとき一度会っただけなのだが、ほっそりして活発そうな、専業主婦ではなく仕事を持っている雰囲気の、さっぱりした話しぶりの感じのいい女性だった。確か編集経験があると言ってたと思う。

わたしが書いたのは〈麦の春化〉である。以下はweblioの生物学辞典から引用。

春化

同義/類義語:春化処理
英訳・(英)同義/類義語:vernalization

植物花芽形成などが低温処理により促進される現象

北海道の一部をのぞいて麦は秋に播く。これは秋播き用の品種である。春播き用の品種というのもあって、冬の寒さがきびしい地方ではこちらを播く。秋に播いた麦は冬の寒さが引き金となって生殖成長がはじまる。これが春化である。この秋播き用の麦を春に播くとどうなるか。必要な寒さがこないために茎葉が茂るだけで穂は出ない。というような内容の文章の最後を、ようするに秋播き用の麦を春に播くといつまで経っても「月経が始まらないというわけだ」*1と書いた。

東京へ配達にいく友人に原稿を渡し、後日、ミニコミ誌をうけとった。原稿の最後の一文が無断でカットされていた。わたしはただちに八ヶ岳のぼろをまとったむさくるしい野郎どもに事情を話しみんなで腹を抱えて笑った。その後、Yさんは二度とわたしのまえに姿をあらわさなかった。それでますますYさんの好感度がアップして今日に至っている。

*1「静かで、ほとんど物音もせず、ごくわずかの人間しかいない界隈で、ここでは娘たちは一年おくれても月経が始まらないというわけだ」ポール・ニザン『アデン アラビア』

 粗野で愚鈍で急激に春化されつつあった19歳のわたしは『アデン アラビア』を読み、どういうわけか有名な冒頭の一文とともにこのフレーズを鮮烈に印象づけられ、Yさんに原稿を頼まれたときにすらすらと書いたのだった。


Book 愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

著者:打海 文三
販売元:徳間書店
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訂正

12月に文庫化されるのは「裸者と裸者」上下巻だけです。
「愚者と愚者」の文庫化は来年秋の「覇者と覇者」刊行前後を予定
だそうです。
わたしの聞き間違えらしい。
単行本にさっさと見切りをつけて文庫化するのかと
思ってました。
情報を混乱させて申しわけありません。

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ブックフェアの22冊と短いコメント

ベストの選書ではありません。著者1人につき1冊としました。ベストテンでもル・カレが5冊入ります。また最初にざっと書き出した本のほとんどが絶版でした。ネットで確認して22冊をえらんだのですが、それでも2冊が絶版。恐ろしい現実。

1「ロリータ」ウラジーミル・ナボコフ(新潮社)

ロリータ (新潮文庫) Book ロリータ (新潮文庫)

著者:ウラジーミル ナボコフ
販売元:新潮社
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 ポルノの要素は皆無です。念のため。殺人者と淫売婦と聖書の修辞(「罪と罰」)をナンセンスな三題噺だと切り捨てるナボコフが書けば、小児愛も、独特で辛辣で強靭なひとつの美意識になります。

2「蒼ざめた馬」ロープシン(岩波書店)

蒼ざめた馬 (岩波現代文庫) Book 蒼ざめた馬 (岩波現代文庫)

著者:ロープシン
販売元:岩波書店
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 本名サヴィンコフ。ロシア革命時のエスエル戦闘団ナンバー2。詩を詠むテロリスト。赤面してしまいそうな経歴ですが、青春の読書にロープシンをぜひ一冊。

3「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」ジョン・ル・カレ(早川書房)
(最高傑作の「パーフェクト・スパイ」をあげたかったのですが絶版)

ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ (ハヤカワ文庫NV) Book ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ (ハヤカワ文庫NV)

著者:ジョン ル・カレ
販売元:早川書房
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小説は特別な才能の持ち主が書くもので、自分とは関係ないと思っていましたが、八ヶ岳で百姓をしていた時に読み、衝撃の深さに小説を書いてみたいという欲望が芽生えた運命的な作品。

4「血統」ディック・フランシス(早川書房)

Book 血統 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-7 競馬シリーズ)

著者:ディック・フランシス
販売元:早川書房
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 本を捨てる主義です。20数冊あったフランシスのうち「血統」だけ捨てられず。二人の女性がじつに魅力的に描かれているので。

5「この不思議な地球で」巽孝之編(紀伊国屋書店)

この不思議な地球で―世紀末SF傑作選 Book この不思議な地球で―世紀末SF傑作選

著者:ウィリアム ギブスン,パット マーフィー,マシュー ディケンズ,イアン クリアーノ,ブルース スターリング
販売元:紀伊國屋書店
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 装丁とか判型とかようするにモノの美しさだけで捨てられない本。

6「スローなブギにしてくれ」片岡義男(角川書店)

 
絶版!!

 片岡義男のほとんどの本を角川書店が絶版にしてしまった。この場を借りて角川書店に厳重に抗議する。

7「敦煌」井上靖(新潮社)

敦煌 (新潮文庫) Book 敦煌 (新潮文庫)

著者:井上 靖
販売元:新潮社
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 高校時代に耽読したシルクロード物の白眉。彼の地への憧れはつのる一方で、熱病にうなされるようにして20代後半にイスタンブールからアフガニスタンを経て現在のカルカッタまで陸路を旅しました。

8「李陵・山月記」中島敦(新潮社)

李陵・山月記 (新潮文庫) Book 李陵・山月記 (新潮文庫)

著者:中島 敦
販売元:新潮社
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 壮大な運命劇も、胡軍と漢軍の鮮烈な戦闘場面も、シルクロードへとわたしを強く誘いました。

9「草原の記」司馬遼太郎(新潮社)

Book 草原の記 (新潮文庫)

著者:司馬 遼太郎
販売元:新潮社
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モンゴルの馬はモンゴル高原が大好きで、ベトナム戦争の前線へ荷役用として送られてひと仕事おえたのち、歩いてモンゴル高原へ帰ってきたそうです。一頭だけでなく、なん頭も。この話をわたしは信じます。

10「戦艦大和ノ最期」吉田満(講談社)

戦艦大和ノ最期 (講談社文芸文庫) Book 戦艦大和ノ最期 (講談社文芸文庫)

著者:吉田 満
販売元:講談社
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 ここで構築されている美学は、わたしに、嫌悪と同時に、著者と作品へのリスペクトを抱かせます。稀有な読書体験でした。

11「文鳥・夢十夜」夏目漱石(新潮社)

文鳥・夢十夜 Book 文鳥・夢十夜

著者:夏目 漱石
販売元:新潮社
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 日本語による小説の技法に悩まなければ、漱石の偉大さに気づくことはなかったでしょう。

12「ケーテ・コルヴィッツ版画集」岩崎美術社
(絶版のためフェアでは図版が多いという理由で「~肖像」を販売)

ケーテ・コルヴィッツの肖像 Book ケーテ・コルヴィッツの肖像

著者:志真 斗美恵
販売元:績文堂出版
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Book ケーテ・コルヴィッツ―死・愛・共苦

著者:清 真人,高坂 純子
販売元:御茶の水書房
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 版画「農民戦争」から二つの世界大戦を経て彫像「ピエタ」へと至る軌跡は痛切ではあるけれど、芸術家としては敗北したのだと思います。敗北を拒否したレニ・リーフェンシュタール(写真集「ヌバ」)とつい比較を。

注:打海 12と13の間にレニの写真集「ヌバ」を入れたかったのですが絶版。

13「ヘンリー・ダーガー非現実の王国で」作品社

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で Book ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で

著者:ジョン・M. マグレガー
販売元:作品社
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 レニのように生きるのは困難でも、ヘンリー・ダーガーなら誰でもなれると思います。ぼろアパートの一室で赤貧と孤独のうちに死に、ペニスのある少女たちが悪の帝国と戦う変態じみた絵巻物を残せばいいわけで。

14「ゴッホの手紙 テオドル宛 中 下」ゴッホ(岩波書店)

Book ゴッホの手紙 中 テオドル宛 (2) (岩波文庫 青 553-2)

著者:ヴァン・ゴッホ
販売元:岩波書店
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 半失業状態だった20代なかばに豪徳寺の小さな本屋で出会った本。弟テオドルにお金の無心をする手紙の束なのですが、勤労せず売れない絵に没頭する姿に、当時も今も胸を打たれます。

15「心臓を貫かれて」マイケル・ギルモア(文芸春秋社)

心臓を貫かれて Book 心臓を貫かれて

著者:マイケル ギルモア
販売元:文藝春秋
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 実人生でも虚構でも、家族の厄介な物語が苦手です。でも読みはじめたらとまらなくなりました。自ら死刑執行を要求した殺人犯ゲイリー・ギルモアの物語。著者はゲイリーの弟。

16「冷血」カポーティ(新潮社)

冷血 (新潮文庫) Book 冷血 (新潮文庫)

著者:トルーマン カポーティ
販売元:新潮社
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 カポーティいわく「誰にでも得意ジャンルがある。わたしの場合それは大量殺人者だ」。殺人場面がなぜかT・ハリスの「レッド・ドラゴン」の殺人場面と、わたしの頭のなかで区別がつきません。

17「風俗嬢菜摘ひかるの性的冒険」菜摘ひかる(光文社)

風俗嬢菜摘ひかるの性的冒険 (知恵の森文庫) Book 風俗嬢菜摘ひかるの性的冒険 (知恵の森文庫)

著者:菜摘 ひかる
販売元:光文社
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 著者は02年に逝去。わたしがこの本に出会ったのが06年。読み始めてすぐ、この人は死ぬぞと思いました。もう死んでるのに。

18「AV女優」永沢光雄(文藝春秋社)

AV女優 (文春文庫) Book AV女優 (文春文庫)

著者:永沢 光雄
販売元:文藝春秋
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 ときおり文学してしまうのが残念ですが、優れたインタビュアーによる傑作という評価は変わりません。

19「セックス・チェンジズ」パトリック・カリフィア(作品社)

セックス・チェンジズ―トランスジェンダーの政治学 Book セックス・チェンジズ―トランスジェンダーの政治学

著者:パトリック・カリフィア,石倉 由,吉池 祥子
販売元:作品社
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 パット・カリフィアの「サフィストリー」を読み、新作が出たと思って購入。序文を読んでびっくり。パットが性転換してパトリックに改名。ええ!? トランスジェンダーをめぐる公正で熱く激しい論争の本です。

20「飢餓と戦争の戦国を行く」藤木久志(朝日新聞社)

飢餓と戦争の戦国を行く (朝日選書) Book 飢餓と戦争の戦国を行く (朝日選書)

著者:藤木 久志
販売元:朝日新聞社
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 恐ろしい話がいっぱい。たとえば16世紀末に、薩摩軍は豊後を攻めて人々を家畜のごとく連れ去り、ポルトガル人等の奴隷商人に売り払っていたとか。学校で教えてくれたら日本史が好きになったのに。

21「エロス論集」フロイト(筑摩書房)

エロス論集 (ちくま学芸文庫) Book エロス論集 (ちくま学芸文庫)

著者:ジークムント フロイト
販売元:筑摩書房
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 精神分析が科学であれ想像力豊かな擬似科学であれ、なににせよフロイトの物語る力は秀逸で、だからこそ人々の心をいまも捉えつづけているのだということは納得させられます。

22「悪について」エーリッヒ・フロム(紀伊国屋書店)

Book 悪について

著者:エーリッヒ・フロム
販売元:紀伊國屋書店
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 フロムは生真面目すぎて物語る力に欠けますが、そういうことと関係なく、本書で展開される死への欲望の分析は、佐川一政の、ブッシュ・ジュニアの、ビンラディンの、わたしたちの悪の在り処を教えてくれます。

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ブックフェアの光景

池上冬樹さんのミクシィの9月13日の日記の抜粋です。

■なお、先日日記でふれた、青山ブックセンターで行われている
「打海文三先生の本棚」で選ばれている本のリストですが・・・。
山形の「小説家(ライター)になろう講座」の生徒
(神奈川在住。ミクシィでは「Nicopon」さん)が
ブックセンターに足を運び、本のリストを教えてくれた。
以下が、その22冊です。

(略)

なお、Nicoponさんによると、

> 展示中の書棚には、一冊につき約50文字以内のコンパクト
> にまとまった寸評が載ったカードが飾られていました。
> 明らかにファンらしき方が棚の前に立つと、まず先に
> それらのコメントを読み、次に、気になった書籍に手を
> 伸ばしている光景にも遭遇しました。

とのこと。いい光景なのではないでしょうか。

ここで描写されている光景に、わたしは励まされます。
わざわざ池上さんに知らせてくれたNicoponさんに、
自分の日記に転載してくれた池上さんに、
ずいぶん遅れてしまいましたが感謝。

ブックフェアは9月22日に無事終了。
青山ブックセンター六本木店の書店員さんの葉書によれば、
「女子高生ふうのティーンから、思いつめたおじさんまで、バラエティにとんだ客層だった」とのこと。
こういうふうに知らせてくれるのもうれしい。

えらんだ22冊の本のリストと短いコメントは明日か明後日にアップします。


Book 愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

著者:打海 文三
販売元:徳間書店
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ふたたび火狩朱夏さん

徳間の文庫の打ち上げと称した飲み会で、吉田伸子さんが「あの子凄いよねー」と火狩朱夏さんを話題にして、席がしばらくもりあがった。火狩さんは以前このブログで紹介させてもらった高校生女子。読みの鋭さ深さにみんな感心したのだけど、吉田さんがいたく気に入ったのは、『裸者と裸者』『愚者と愚者』の人物評の「竹内里里菜きらーい」という火狩さんの言葉。これはまあ個人的感情だが、わたしも火狩さんのきらい発言に納得。だって里里菜は海人との恋においてフェアじゃないからね。

その火狩さんが『愛と悔恨のカーニバル』の書評を書いてくれた。
http://ameblo.jp/9s-and-arikawahiro-love/entry-10048057118.html

「飲み込まれる」衝動がどんなものか。
抱き締めて包んで丸ごと愛して欲しかったんじゃないのかなと解釈しましたが、
そう言葉で定義した時点でそうとしかならないんだったら、
曖昧なまんま断定せずに、作者の言葉を借りたほうがよほどいいのかも。

柔軟で粘り強い思考に感嘆。高校生女子、17歳ぐらいですよ!! とそこを強調すると、また火狩さんに、それがなにか? あなたたちにとって高校生女子17歳がなにか特別な価値でもあるんですか? よくわかりませんね、と皮肉られても仕方ないのだが、どうしても17歳のぼんくらな自分と比較してしまう。

Book 愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

著者:打海 文三
販売元:徳間書店
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「裸者と裸者」の文庫発売が12月にずれこみます

角川書店のS氏から電話。営業サイドが〈売り〉を年末年始に仕掛けたいので「裸者と裸者」の文庫化を12月にずれこませてよいかと。わたしには判断できないことなので了承。ということは今年の年収は70万を切るぞ。わたしのプレカリアート人生ではべつにめずらしいことじゃない。両親ともにプレカリアートだったしな。つまり物心がついたときからわたしはプレカリアートみたいなものだった。でも100万を切るのは7,8年ぶりぐらいなので、どういうわけか気分がハイに。

〈プレカリアート〉不安定な=precariousに由来する非正規雇用および失業者およびそのあたりの人の総称。
#以上はウィキペディアのまとめ。
#わたしの青春時代には似た言葉にルンペンプロレタリアートあるいはルンペンインテリゲンチャあるいはたんにルンペン。古くさ!!

Book 愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

著者:打海 文三
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西村寿行作品がならぶ本棚

25年ぐらいまえに名古屋の映画制作会社でPR映画を撮った。東京からわたしがディレクターとして呼ばれ、ほかのスタッフは名古屋の人だった。広告代理店を兼ねる制作会社が、残業で帰宅できなくなる社員の宿泊施設として所有するマンションで、わたしは一人で寝泊りした。ダイニングルームの隣の小部屋の本棚に、西村寿行の小説だけが20冊か30冊あって、2週間ほどの撮影の間に、わたしはぜんぶ読んだ。そんなふうにして出会わなければ、西村寿行の小説をそれほどたくさんは読まなかったと思う。という個人的な体験のほんのさわりだけを、新宿の飲み屋へ向かうタクシーのなかで話すと、徳間書店のK嬢が敏感に反応して、文藝評論家の井家上隆幸さんのエピソードを教えてくれた。あるとき井家上さんが大工さんに頼んで本棚をつくった。大量の本のなかに大工さんは西村寿行の小説を見つけて貸してくれないかと言った。なぜならこの人の小説は図書館に置いてないから。

Book 愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

著者:打海 文三
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『愛と悔恨~』文庫の打ち上げ

浜松町の路地へ。提灯の明かりが途切れて道に迷ったのかと思ったら薄暗がりのなかで熱帯の森を飛ぶ鳥のような衣装の徳間書店のK嬢と若いK氏が待っていてくれた。ちょっと遅れて、神経が図太い吉田でーすともう一人女性が。この人、早口で突っかかるようにしゃべるので相手してると叱られてる気分に。ところが数年前、夢のなかにわたしが出てきておまえ読みが甘いんだよと説教したとか。嘘でしょ。自己投影ってやつだよ。だってあなたが飲み屋で年下の男の子をつかまえておまえ読みが甘いんだよってからんでるの見たことあるもん。あははは、ちょくちょくあるらしいのよね。新宿へ移動して二次会。イラストを書いてくれた川島淳子さんが合流。PCをネットにつないで一年という初心者で、日記だけで知っている人に会うのははじめての経験。可愛くて物静かな女の子。ばくぜんと想像していたのとなんかちがった。なにを妄想してたんだか。おどろいたのは落ち着きと椅子にすわった背筋がぴんとのびていたこと。川島さんと同じ歳だったころのわたしはがつがつがさがさして粗相ばかりしてたのにな。

Book 愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

著者:打海 文三
販売元:徳間書店
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神経が図太い吉田伸子と池上冬樹

編集者が『兇眼』(徳間文庫)の解説を吉田伸子さんに依頼したら断られた。言い分はこうだ。その仕事をうけちゃうと、つぎに文庫化される予定の『愛と悔恨のカーニバル』の解説がほかの人にいってしまうわけで、あたしは〈愛と悔恨~〉の解説を書きたいのお‼

編集者はそこで池上冬樹さんに依頼したが、また断られた。事実経過はちょっとちがうかもしれないがそれはどうでもいい。山形市で会ったときに池上さんはわたしに面と向かって言い放った。『兇眼』はやる気ないけど『そこに薔薇があった』(中公文庫)の解説はぼくに書かせてよ。シンジラレナイ。世間一般の常識に照らしてありえない発言だと思うけどね。

不憫な『兇眼』のために一言。おもしろい小説だとわたしは思う。青山ブックセンター六本木店の書店員さんが凄く気に入ってくれ、徳間に50冊注文したのに20冊しかまわしてくれないとぼやきつつ、ばかすか売ってくれました。

で『兇眼』の解説はどうなったか。編集者が困って、どうしましょうかと言うので、香山二三郎さんなら書いてくれるかも、あの人プロだと思うから、とわたし。やっぱり香山さんはプロだった。吉田&池上とおおちがいだ。快く引きうけてくれた。みなさん『兇眼』の解説を読んで、香山さんの鮮やかなプロの筆致を愉しんでください。

わたしは中央公論新社の編集者に電話を入れて、『そこに薔薇があった』の解説は池上さんでと頼み、池上さんは望みどおりの仕事を手に入れた。

吉田さんは『兇眼』から二年後、やはり望みどおり『愛と悔恨のカーニバル』(徳間文庫)の解説を書いた。主人公の女の子への深い愛にみちた文章だ。あんなに神経が図太いのに、この解説にかぎって言えば、吉田さんの愛には繊細で壊れやすい肉体がある。

Book 愛と悔恨のカーニバル (徳間文庫 う 7-3)

著者:打海 文三
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